『箱庭に追慕』という漫画は私の過去に作ったお話をリメイク・再構築・合体させています。
理子が主人公のお話、規が主人公のお話、居が主人公のお話、紀一が主人公のお話…
そんな色々な主人公達のお話がひとつにまとめられて『箱庭に追慕』になりました。
いわば『箱庭に追慕』とは私の創作活動の総括なんです。だから愛着もいっぱいです。
主役だけじゃありません。
白坂も過去に作ったお話の主人公でした。
特に白坂は私の初めてつけペンで書いた漫画の主人公なので思い出いっぱいです。

七月・白坂・玉沢・佐藤の4人はその初めて描いたお話の登場人物です。
「七月編」自体がそのお話と他のお話を合体して再構築しています。
確か白坂のお話が出来たのは8年くらい前です。
当時のお話も『3人の男達が女ひとりを殺すかどうかで悩むお話』でした。(どんなお話ですか!)
「既存キャラと被る」という意味で、七月・白坂の外見は大幅に当時から改変が加えられていますが、
玉沢と佐藤は全く当時のままです。性格も何もかも。
玉沢と佐藤についてやんわりと説明します。
まず玉沢。
(私としては『樋村(ひむら』が正式名なのですが、友人が付けてくれたので『玉沢』を採用してます)

七月に対して冷ややかな態度の彼。
七月殺害を提案するのも彼ですが、実は彼にも弱点がありまして。

(155話)
実はカーチャン大好き。マザコン。
でも実際はカーチャンを前にすると素直になれない男で、
「マッサージ機能を備えた2号を大量生産してプレゼントする」なんて遠回しな親孝行を考えていたりします。

(169話)
そんな玉沢が大金を必要とする理由は、『詐欺にあったから』だったりします。
「母親が倒れたから大金が必要だ」という、なんとも悲しい詐欺に引っ掛かったことがあったのです。
彼は母親へ素直になれない男ですから、「倒れた!」と言われれば母や親せきに確認することすら忘れて
急いで大金を用意して振り込んでしまった過去があります。
…あの性格ですから、親戚一同に嫌われてますので「事の真意を確かめる相手」がいなかったのです。
そこで作ってしまった借金が元になって、現在は貧乏暮し。
七月のせいで現状が悪化するなんて、彼には耐えられなかったのでした。
さて。
次は佐藤。



言うまでも無く、奴はギャンブル依存症。

無言を貫いている時が多いように思いますが、
あれは競馬中継を聞いてるだけだったりします。

そしていつも帽子の上に乗っかってるゴーグルは受信した電波でギャンブルの結果を可視化する為の物です。

元妻へのお金に悩む中央の男と、詐欺被害で悩む右側の男と、ギャンブル依存症で悩む左側の男…。
それを知ると左側の男だけには
「きみ、そんな顔する権利無いぞ? きみが必要なものは金じゃないぞ? それ治すことが大事だぞ?」って
正座してつっこみたくなります。
真面目な顔して大事な所はスルーするというか、他人に深入りしないというか…そこが彼らの良いところでもあります。
・・・・さて、お話を戻します。
長くなるので追記に分割しました。
『実は白坂は過去に作ったお話のリメイクである』と最初に言いました。
過去作も、今作と同じく『3人の男達が女ひとりを殺すかどうかで悩むお話』ですが、
過去作と今作の大きな違いは「七月の生存」だったりします。
「箱庭に追慕」に組み込まれる前の話では、実は白坂が七月を救います。
白坂は警察を呼んで、七月を助けることに成功します。
きっと七月を助けられたなら、白坂はそれだけで幸せでしょう。
でもリメイクを経て、改変というか悪変というか・・・ 七月は死ぬことになりました。
もしも、170話直後の白坂が七月に会っていたとしても七月が死ぬことに変わりはありません。
というか170話直後から白坂は七月に会おうとしませんでした。
罪悪感から、どうしても七月と顔を合わせることができなかったんです。
だからもう七月の死は『来るべくしてきた』という感じです。
七月の死は七月の息子達が行動するために必要な事実でありまして、
今も七月が生きていたなら物語全体の展開がおかしくなってしまうので…
なんとも弁解しにくいのでありますが・・・
この後の白坂について少しお話ししようと思います。
本当は紀一が主役の番外編『11探偵』に出てくる内容なのですが、本編を読んでも分かる所を解説します。
まず、思い出していただきたいのは「七月編とは何だろう?」という点です。

そうです。
七月編とは「黒見七月が残した日記の内容を紀一が伝えている」という物です。
だから紀一が話す【七月編】には七月の気持ちが鮮明に出ています。

お話全体のコマの周りの色は黒。
過去のお話だから黒い色になっています。
でも、七月編の144話~146話までを見てみると、コマの周りの色が若干違います。

色が薄いんです。 グレーです。
実はこの144話~146話は過去の紀一の心情が語られている場面です。
つまり「七月が知らなかった紀一の場面」であり、
「日記に書かれていない事だけど紀一が独断で話した補足部分」なんです。
紀一は「日記にはここまで書かれてたけど、当時の私はその裏でこんなことを思ってたわけよ」という言い方をして話していることでしょう。
さて、実は【七月編】にもうひとつ、枠線の周りがグレーになっているシーンがあります。

そうです。
168話~170話の「ひそひそ」部分です。
これは七月殺害の計画を立てているところ。
「七月がこのシーンを知っていたらおかしいところ」なんです。
このシーンに登場するのは玉沢・佐藤・白坂。 知っているのはこの三人だけ。
殺される予定の七月も、この中にいない紀一も知ってる筈が無いんです。このシーン。
でもどうして紀一がこのシーンを回想出来るのか。
…もう少し絞ってみましょう。
殺害計画を立てたことを知っているのは3人。玉沢・佐藤・白坂。

でも読み進めていくと、玉沢と佐藤はひっそりと退場しているんです。
そこから始まる白坂の独白。

ということは、このグレーに着色された「ひそひそ話」の全てを知っているのは白坂のみとなります。
白坂しか知らないことを、紀一が知っている。
つまり白坂はこの七月編以降、紀一に会っているんです。
紀一に会って、七月死亡の真実と自分の気持ちを話しているんです。
白坂は罪の意識に耐えられず、紀一に懺悔したのでしょうね。
白坂に暴露された紀一。
彼は白坂をどう思ったのでしょうか。

それは、秘密です。
秘密ですが、
『最強さん』での紀一はこんなことを言ってたりします。
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