◆箱庭の外堀◆

七月の変化 :: 2016/01/16(Sat)

162話のまとめ。
本編を読んでて「んん?」って方は読んでくださるとちょっと分かる、かもです。




七月は『ビッチ』から『手フェチ』に華麗なる転身を遂げました。

さてさて、「どうして手フェチなの?」という疑問も出てくるかもしれません。
少しばかりおさらいをしましょう。

133話のことです。

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富山君が死んだ直後、七月は富山君の手を触りました。
冷たかったのです。固かったのです。

彼女は怖ろしくなって、1号に泣きつきました。
安心したくて、富山君の代わりに手を握ってもらおうとしました。
冷たかったのです。固かったのです。

だから七月は1号を信用できませんでした。頼れませんでした。

そして男に逃げました。
男はあったかいのです。身体が。

でも、手だけは握れませんでした。
「手を握ってしまったらその人の手もまた富山君や1号のように、また固くて冷たいのではないか」と
無意識に思っていました。

『富山君が憑依した!』と叫んでいた時も「手が憑依した!」と叫ぶことはありませんでした。
どんなに男が出来ても、手をつなぐことはありませんでした。
心の奥から、手をつなぐことが怖かったのです。

実際にどのシーンにも七月が男と手をつないでいる所はありません。

男と女ってそんなにポーズあるんか? 抱き合う時ってそんなにパターンあるんか??
と、ものすごく疑問でした。ソッチ方面には全然明るくないんです。すいません。
プロの人(?)とか大人な人には幼稚な描写に見えてたら申し訳ないです。
私の調べ不足でした。 もっと男と女の抱き方を勉強します…(なんか恥ずかしいぞ)
でも、なんていうか、ちょっと調べただけでも「えーっ!?」って思わずPC閉じそうなものばっかりで…
はい頑張ります・・・


七月自身、知らず知らずのうち
『手を握る』は身体を重ねるよりも重要な事になっていたようです。
体内が繋がることよりも、彼女にとって「一番他人と接触する機会が多い『手』」が信用の証でした。
だけど本人もそれをよくわかっていませんでした。

「七月を救う事が出来るのは死んでしまった富山君だけ」と思ってた読者様方も多かったかもしれません。
でも本当は、ただの生きてる人間が彼女の手を握ってあげるだけで充分だったんです。

誰の手も握ることが無かった七月は『憑依』だとか『死者蘇生』だとか変な事を言いだしていました。



でも、彼女は手を握ることが出来ました。

握った手は六太郎のものでした。

じっとりしてて、ぷにぷにしてて、ほんのり温かい。
だけどホッカイロのような芯の強い温かさじゃなくて、
お皿に置いてたら一時間もしないうちに覚めてしまいそうな温かさ。
こんなにやわらかくて、中にちゃんと骨が入ってるのかしらって疑問になる。


「愛してる」じゃなくて「いとしい」気持ち。
この小さなぬくもりの前では「嘘」がつけないと思った。
全ての汚いものがどうでも良くなっていく。

永遠にこのあったかいぷにぷにを触っていても良いって思えるくらい、
そこには無心と愛しさが広がっていた。

すごく自分が醜くて卑しい存在に思えた。
「私は汚い存在です」と言いたくなった。
その手でほっぺたをペチペチしてもらったらしにそう。うれしすぎてどっかいきそう。
自然と頭が傾いて、その手をずっと見つめてる。
ためいきなのか、なんなのか。


あぁもうしあわせ!


…「幸せ」?



今、すごく自然に「幸せ」という言葉が出てきた。

そう。

そうよ。

そうなのよ!


「幸せ」なのよ!
「幸せ」は、自然と浮かぶものなのよ!
「幸せは決めるもの」なんかじゃないの!

ふと、意図しない所で、「決まってしまうもの」なのよ!
私の意思とは全く無縁の所で、天から降る雷のように「幸せ!」って本能的に分かるものなの。


…七月の意見が変わった瞬間でした。

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良い時も悪い時も、
富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も…

162話に出てくる台詞ですが、これは結婚式で牧師さんが言う言葉です。
新郎新婦が誓う時の言葉です。
七月が「誓える」「誓えない」と言ってたのはそういうことだからです。


富山君に感じる気持ちと六太郎に感じる気持ちに「別の物なの」と彼女は言います。

それはその結婚式の言葉が分かりやすくあてはまります。

七月は富山君と一緒なら、
幸せな時も不幸せな時も一緒に乗り越えていきたいと思っていました。
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151話の七月が本音をぶちまけるシーンにその事が出ています。
対等の立場を持つ二人で辛いことも楽しいことも、一緒に支え合っていきたいんです。


一方、七月は六太郎と一緒なら、
幸せな時も不幸せな時も一緒には乗り越えていきたくないと思っています。
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幸せな時はいい。 でも、不幸せだなんて… 乗り越える以前に、そもそもそんなの許せない。
あの小さくて温かい手が冷たくなってしまうような事が起きたら、そんなの耐えられない。
あの幸せを不幸せにする奴がいるなら八つ裂きにしてやりたい。全力で阻止したい。

それは富山君に抱く対等な関係とは別でした。

小さくてぷにぷにで、汚れの無い可愛い手。いとしい手。
卑しく汚らわしくてちっぽけな私には大きすぎて素晴らしすぎる。
私よりもはるか上にある存在。

でも頼りにして欲しい。 守ってあげたい。 儚くて弱くて、すぐ壊れやすそう。
私よりもはるか下にある存在。

とにかく対等じゃないの。 上であり下である。


「過剰防衛だ」と非難されても構わない。

あの手は「冷たくて固かった富山君の手」と対極にある。
対極だけど、隣どおしにもある。
放っておいたらすぐ富山君と同じになりそうだから。

過剰だってなんだって、守りたい。守り通したい。 「幸せ」をずっと握っていたい。
私がこの手を温め続けたい。

この手は離れるとすぐに冷たくなってしまいそうだから、もう富山君を探しには行けないわ。
七月の幸せは決まってしまったから。

この幸せを温め続け、この幸せの為に死ぬことに何の違和感も感じないから。
「私はこの儚さを温め続けるの。 死んでも。」


*****

ということでした。

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この台詞が大きな彼女の一歩を表していると思います。


長文失礼しました。

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  1. 補足説明